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ピアズ小話

ピアズ君のとある一日。
ワイバーンタクシー・ワイバーン便経営のピアズ君は今日も飛び回っています。


特別な届け物

今日の一等最初の荷運びは、最も神経を使う種類の荷物だった。
まず、荷運びで気を使うもの1位が生もの、生き物。
その次が、贈り物だ。
ピアズが今日、動線の合理性を無視して真っ先に運んでしまおうと考えたのは、
今日の荷物の中に、その2つの属性を持つ荷物、『贈り物の花束』が含まれていたからだ。

とある町に住む娘が、離れた町に修行に出ている恋人に贈る花束。
美しい話だ。
娘が花屋でそれを当然、厳重に梱包してあるからして、ピアズの目には花は見えない。
けれど、花屋がその荷をピアズに手渡した時に聞いた話だけで、
単純で健全なピアズのやる気に明るい灯をともすのには十分だった。

ところで、更に気を使ったのは、その花屋からの、運び方に関する注文だった。
ピアズの、ソルに次ぐ商売道具と言ってよい、空間拡張バッグに入れないでほしい、というのだ。
梱包には小さく無数の穴が開けてあり、花が日光を感じて常に上を向いているようにしてあるため、だという。
そんな訳で、ここが一番安心だろうと、ピアズは大ぶりの箱を背中に背負って飛ぶことにした。
見た目は悪いが、安定性は抜群だ。


まだ午前の涼しい空気が心地よい。天気もいい。風もいい。
「よし、一気に飛ぶぜ」
バリトン、というには何気に渋みもある明るい声で呟くと、ピアズは愛竜ソルに手綱を振るった。


そんな訳で、鐘楼と尖塔の多いある町の、その尖塔の一つの窓辺で、
ピアズは目的の人物に出会い、ホバリングするワイバーンの上で背負子ごと荷を手渡した。
細工職人を目指しているという優しげな若者は恋人からの荷を顔を赤らめて受け取り、
ピアズの仕事は普通ならここで終わりなのだが、今回は一つ確認事項があった。
「なぁ、すまねぇが差支えなけりゃ、ここで開けて見せてくれねぇか。
 店がな、品物がきちんと上を向いているよう細工をしていたらしいんでな。
 それが上手く行ってなかったら、こりゃ店に知らせてやらねぇと」
若者は首肯する。そうして、分厚い梱包の箱を四苦八苦して開梱すると、
現れたのは可憐な雛菊をメインに瑞々しい葉やブライダルブーケ、カスミソウなどで清楚に盛られた花束だった。
ボリューム感も、瑞々しさも、もちろん花が元気に上を向いている点も申し分なく、
ピアズは満足して思わず鼻息を荒く吐いた。

「修行ばっかやってねぇで、ばんばん休暇取って会いに行ってやれよな!
 あ、そん時ゃ俺が運んでやるよ。定期便ならお得だぜ?」
どこまでも商魂たくましいピアズであった。


(「無邪気」で「お人よし」、「明朗」で明朗会計のピアズ君にぴったりな、
 雛菊の花のお話でした)

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