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何回目かのフライトの晩。(3)

大丈夫!全年齢だよ!腐ってるだけだよ!
ピアジャコ馴れ初めSS!第3回
◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


だけど、その日のフライトはもうそれ以上のことはなく
無事に済んで、で、暫くは会うこともなくて、
その日感じた妙な感覚忘れてた。

                          ~続く~




次の仕事以降ずっと、おんなじ宿に泊まる習慣になって、
まあ男同士だし下品な話は一杯有ったけど、
特別なことは何もなかった。
この時期、結構仲良くなったんじゃねぇかな、多分。

だけど、強いて言うなら、
あいつの笑顔がどんどん眩しくなってきたってことと、
あいつの金髪の手入れ方法を俺が会得しちまったのは、
変なこと、だろうか……

笑顔が眩しいってのは、俺の目の錯覚じゃなくて、
何かあいつ、いつも妙に嬉しそうなんだよ!
理由は聞いても答えてくれなかった。
俺はただひたすらアイツのいい笑顔ばっか見せられて、
理由も分かんないままご機嫌のアイツと飯食って、
部屋が2つ取れた時は別の部屋、
初回みたいに取れなかったら同じ部屋で寝た。
そーゆう仕事が2、3回ぐらいあったかな。
んで大体宿で寛いでる時に、
あいつの髪があまりにさらさらなんで、

「何か秘訣でもあんのー?」

って聞いてみたら、
な か っ た …

「嘘だろ…」

って言ったけど

「すみません…、本当です…。櫛で梳かしてるだけで…」

と申し訳無さそうに言われて信じた。

でも、実はあったんだなこれがー。
風呂が被った時に発見したぜ。
怪しい動きをしたから、手首掴んで、

「それ何だよ! 逮捕!」

秘密は暴かれた。
凄く軽いタッチのオイルを濡れ髪に少しだけつけるんだとさ!

…って何やってんだろうな俺は本当に。
一度お願いして、オイル使わない場合の髪を見せてもらったけど、
やっぱりいつもよりかはツヤ度が下がってた。
当たり前だけどな。
でも本当にすげぇなと思ったのは、
…その、何にもしない時の方が、サラ度は上がるんだぜ…

俺があんまりにも金髪のサラツヤ具合にこだわるんで、
あいつも困った挙句、

「ゆっくり触ってみます?」

「!?」

何故か心臓がバクバクした。

「いえ、何か金髪ストレートヘアが珍しいようですし」

いえ、珍しいんじゃなくて、好きなんです。

「ちょっと拘り方が尋常じゃないようなんで、
 僕も落ち着かないんで、ここらで思う存分触っときません?」

……ちなみに風呂あがり、髪を乾かした後の、
ベストコンディションのサラツヤだった。

俺は軽口もろくに叩けず、

「じゃ、じゃあ折角だし……」

何が折角何だか全く分からねぇけど、
テープを繰り出すみたいな手つきで髪を暫く触ってた。
凄い神妙な顔してたと思う。
つるつるだった。
そのうちジャコーも暇になったのか、
櫛を渡してきて、梳かせと言う。
俺はまた、軽口も文句も何も言えず、
ただ黙って、アイツの髪を梳かしてた。神妙なツラで。
俺は覚えてねぇけど、
後でジャコーがゲラゲラ笑いながら言うには、
すっごく丁寧だったってさ。
だよな。天使みたいに崇拝してる金髪に触れたんだもんな。


まあ、こんな感じで、俺はジャコーを凄く綺麗な男だと思ってて、
多分、女の次に守ってやらなきゃならない存在みたいに
思ってたんだと思うんだわ。
次の依頼の時、それで凄く納得がいく。


次のジャコーの依頼の日は曇りだった、
んで、指定の街に行くと硝煙臭え。
あ、これは……と思いながら、高度低くして目立たないように
待ち合わせ場所行くと、
クリーム色のロングコート野郎がうつ伏せに、
街の方から這いずって来てたわ……
血の跡が累々と街から伸びてんの…ぞっとしねぇ光景だった。
一応、周囲に敵は居ないみたいだったんで、俺は焦って近づいた。
ジャコーは手持ちの属性球なんかで多少手当したみたいで、
意識はあって、

「…仕事は完遂しましたが綺麗に決まりませんでした。
 とにかく予定の街へ飛んで下さい…」

普通に、ワイバーンタクシーライダーへの依頼をした。
傷は太腿で、結構でかい血管やられたっぽくて血がだくだく…。
ジャコーを表返すと、上向いた口から
「ふしゅう…」なんてふざけた息の根が聞こえてきたが、
太腿の前が削げてなくなってるっぽい。俺は思わず呆然となった。
俺は運送屋であって、ヒーラーじゃねぇ…
何か大事なものが壊れた時みたいに、胸が痛くなった。
むしろ胸が壊れた。

「ジャ、ジャコー…」
「何ぼんやりしてるんですか。さっさといつものように飛んで下さい。
 貴方は運送屋であって癒し手じゃないんですから。
 早く早く。死にますよ僕が」

俺が凄いショック受けてるのに、
俺が思ってること全部言われた挙句脅されて発破かけられた。
ぶっちゃけビビった。
空間拡張バッグからゴンドラ出そうとしたら、「えー」って言われた。

「僕もう死ぬかもしれないんですよ? 抱いて飛んで下さいよ」

これが本性なのか、本人も浮沈の瀬戸際ってやつで
大胆になってんのか分かんねぇけど、兎に角、抱き抱えて飛ばされた。
当然俺も血塗れになった。
横抱きで、足の方を高く上げて、頭の方を下げて。

「…追手はねぇのかよ」
「全部死んでます」

なるほど。腕がいいな。

「この傷。何でやられた」
「僕の装備のミニマスケット6丁が全部暴発させられまして。」
「太腿に装備してた奴か!! 自損!?」
「いやいや、相手の攻撃ですってヴぁ…」

こんなアホな会話してたお陰でジャコーは意識を失うこともなく
目的の街に着いた。医者に駆け込む。結論から言うと、
こいつ、小さな回復アイテムを腹に仕込んであったようで、
命は取り留めるそうだ。
削げた肉は、リザードパウダーで地道に治していくしか無いらしい。
とは言え重傷、当分歩けもしない。
入院決定、今日1日は絶対安静で清潔なベッドに寝かされた。
俺は何て言っていいか分からなくて、ひたすらジャコーの顔を見てた。
……凄いムカつくんだが、全然痛そうでも苦しそうでもねえの。
実際には痩せ我慢らしいんだが、兎に角俺をおちょくってくる。
もしくは初動の遅さをネチネチ文句言ってくる。

こいつ、今まで、完全に猫被ってやがった…。
天使とまで思ってた俺は一体…

「騙されたわ…」

一言文句を言う声に、

「あまりにもモテなそうなレナード君に、可愛い僕との
 楽しい時間を過ごさせてあげたんですよ! イタタタ」

一応文句は言ったけど、腹は立たなかった。
相手がそんな状態ってのもあるし、
そんな相手が何でか…、俺を頼りにしてるって感じたからかね。
舐められてるだけかもしれねぇけど…。
何かこう、俺の方が元気を無くしてるところもあった。
何でって…、壊れたんだよ、何かが…。
俺もよく分からねぇよ。

……俺の仕事は、ジャコーを病院へ担ぎ込む所まで。
次の仕事で呼ばれるまでは、会うこともねぇ。
その日は、ワイバーンライダー用の安宿に泊まって、
壊れた青いガラスみたいな気分で過ごして、
次の日からは別の町へ移って仕事した。


                          ~続く~
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