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何回目かのフライトの晩。(1)

大丈夫!全年齢だよ!腐ってるだけだよ!
ピアジャコ馴れ初めSS!第1回
◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

何回目かのフライトの晩だった。
目的地には2日がかりで飛ぶので、
必ず何処かで一泊するのは分かっていたから、
洒落たコートや帽子やブーツで着飾った、
気取った金髪のエルフの気に入りそうな、
そこそこ小綺麗な街を選んだんだ。
そこなら宿屋も何軒もあるし、コイツの好きな、
1階が賑やかな酒場で2階が宿屋、ってところも確かあったからな。
何度も通った街でよく知ってたから、日が暮れる頃にその街に着けて、

「早く宿探した方がいいぜー」

って言ったんだよな。
あ、俺は、ワイバーンタクシー連中御用達の安宿、
下手すると人間よりワイバーンを手厚く持て成してくれるって
そんな宿があるんで、俺はそっちに泊まるつもりだった。まあ、相当安い。
まだ、ジャコーとはそんなに仲良くなってなくって…、
というか、裏社会の奴だって薄々気づいてたんで、
なるべく距離を置こうとしてたんだな、今思えば。
でも、まあ、俺のそんな提案は、

「……何か、不自然じゃないですか?」

とジャコーに文句を垂れられた。
相手は別に金持ちじゃない。手頃な宿でいいんだ。
そんで、同じ年頃の若者同士が泊まるんだったら、
同じ酒場で夕飯を食ってくだらないお喋りの1つもして、
同じ宿屋に泊まるんじゃねぇか? 仲が悪くないならな。

…と、ジャコーは大体そんな論旨で俺を誘ってきた。
もう顔なじみで知らない仲じゃないし、
特に僕を嫌いというのでなければ、一緒にご飯食べましょう、
と、あのアホみたいに明るい笑顔で誘ってきやがるんだ。

……裏社会の怖さってこういうところなのかもしれねぇな。

とにかく、本当に綺麗な笑顔だった。
長くて真っ直ぐな金髪がさらさら揺れててな、
高い鼻の下では小さく見えるが、くっきりと線を描いて笑う唇は
結構大きめで明るい笑顔がよく目立ったし
(アン・ハサウェイってやつを知ってるか、
 ジュリア・ロバーツまでは想像しなくていい)、
何より、濃い菫の瞳、あんなの俺は見たことがなくてな……。

光の加減では焦げ茶色に見える。
だが明るい場所なら、あんな見事な紫水晶はねぇよ。
宝石屋に行く事なんてある訳ないが、
宝石をお守りやアクセサリーで身につけてる奴は結構居る、
そんなのの中でも紫水晶はポピュラーで、俺も何度も見ていて、
そして其の中で一番、ジャコーの瞳の色は綺麗だった。



ワイバーンを係留できて、見た目ちょっと小洒落て華やかで、
人気のある酒場が1階、宿が2階――そんな店が、幸いにも存在した。
ただ1つの問題は、
予約もなしだったせいもあり、部屋が1つしか空いてなかったことだ。

「……」
「……」

これには、流石に俺たち2人も、青ざめ笑顔で互いを見つめ合った。
だがすぐ、ジャコーが殊勝な事を言いやがった。
「元々君のフライトプランを僕が我儘で変更した訳ですし。
 ベッドは1つでも、ソファならありますよね?」
宿の人間に確認して、結局1つの部屋で2人寝ることになった。


                               ~ 続く ~

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